エコロジーふとん専門ネットショップ グッスリー
2007/02/10
なぜか上海。@
 今年で結婚して25年になる。世間では銀婚式と言うらしい。
 何とも余計なものを作ってくれたものだと思う殿方もおられるかもしれない。

「どこか、旅行に連れて行く気も無いの?」と言うカミさんの言葉の通り、夫婦で行った所と言えば、1泊2日の温泉旅行程度しか頭に浮かんでこない。
 それぞれ勝手に、あちらこちらには行ってはいるが、その殆どは私であり、返す言葉が無いのである。
 私にしてみれば、数々の旅行、視察や出張には、それぞれの団体、組織や仕事に関わる私なりの立派な理由があって出掛けているのであるが、カミさんにしてみれば、「またどこかに出かけるの」の一言に集約出来るのであり、その根拠とされる立派な理由も、全くそれ程のものとは思われていないのに違いない。
 それもこれも私の日々の言動から来るものであり、いたし方ないのである。
 
 そこで4半世紀の節目という事で、冬休み中だった三男を連れて、三人で家族旅行に先月行ってきたのである。
 行先は井上陽水の曲ではないが、なぜか上海である。
 なぜ上海になったかというと、さしたる理由がある訳ではないが、一番に行った事が無い。二番に札幌から直行便が飛んでいて近い。三番に旅費が安いという理由であるから、上海の方には大変申し訳ない。

 特に三番の旅費に関しては、札幌発着の上海への4つ星ホテル利用3泊4日フリーツアー旅行の価格は、この時期は東京へ遊びに行くのと全く変わらない料金である。
 ちなみに札幌〜上海の正規料金は片道エコノミーで16万5千円であるが、フリーツアー価格は全部で5万円台である。
 昨年末、ソフトバンクが携帯新プランで消費者に誤解を与えるとして公正取引委員会からクレームがついたが、航空会社のこのように複雑怪奇な価格設定こそいかがなものかと首を傾げたくなるのである。
 と言っても最安で行ってきた私が、とやかく言うのもおかしいし、4半世紀ぶりにしてはあまりにもリーズナブルな旅行と言われるかもしれないが。

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 札幌から上海への直行便はJALと中国東方航空との共同運航便である。最近多いコードシェア便とも言うものである。
この共同運航便は、機材や乗務員は全て中国東方航空での運行となる。
 と言うよりは、JALが一部座席を自社販売分として仕入れ販売しているという方が実態として近いかもしれない。
 JALにしてみれば、地方空港からの自社便運航のリスクが避けられ、社員の高齢化と巨額な人件費に喘いでいる現況からすれば、安い運航コストの海外航空会社からいいとこ取りをした方が得策なのであろう。
 一方中国東方航空にしてみても、一定の席数がJALによって保証される訳だから、そのメリットは少なくない。
 そしてJALは自社分の座席をどうするかと言えば、その多くを旅行会社に切り売りするのである。
 何ともマグロの仲買人のようである。

 日本へ週147便飛んでくる中国東方航空
  日本へ週147便飛んでくる中国東方航空

 さて、乗った飛行機は120人程の座席数のエアバスA319という機材だったが、10年ほど前から作られだした比較的新しい飛行機であるが、映像サービスどころかイヤホンすら付いていない。
 とにかく余計なオプションは全てつけない徹底的なコストダウン機である。
 エアコンはもちろん、カセットステレオもオプションだった二昔以上前の車を思い出してしまった。

 4時間弱の飛行時間中に、機内食の時間もあり、うたた寝をしていると着いてしまうこの路線では、これで良いのかもしれない。
 大赤字でリストラ策を進めるJALグループも大いに参考にして欲しいと思った次第である。
 特に1〜2時間の飛行時間が殆どの日本の国内線など、余計なサービスや機材は不要である。
 うとうと始めると、決まってドリンクの機内サービスが始まり目が覚めてしまい、起こされた所で、ビールは有料である。

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中国時間の夜10時台に上海浦東国際空港に着き無事入国手続きを終了すると、現地ガイドの江さんが流暢な日本語で迎えてくれた。
 両親が教師の家庭で生まれた江さんは、大学で日本語を専攻し、その後日本人観光客のガイドとなり、一時商社へ転職もしたが、この仕事がやはり楽しいと、ガイドに復帰したとの事である。
 上海では中流と言える家庭環境と思われるが、一度も日本に行くチャンスに恵まれないと言っていたが、行った事の無い日本語がこんなに上手で、日本の歴史や宗教から、流行、昨今のニュースまで、その話題と知識の幅広さに驚かされる。

 江さん
 江さん(早く日本に来られる夢を叶えて欲しい)

 ちなみに奥さんは高校の教師で、2歳の女の子がいて、平日は姑さんが子守をしているとの事である。
 などと、ついつい身の上話を聞いてしまうのも悲しい性であるが、海外旅行で出会う現地ガイドさんの能力の高さにはいつもながら驚かされる。
 それに比べ何にも考えずに脳天気に旅行をする日本人の多いこと。
そう言う自分も全くの同類であり、江さんは私達を心底でどう思っているのだろうか。
 などと神妙に考え過ぎていては、つまらない旅となるので、やはり脳天気旅行と決め込む事とした。

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 上海の歴史は中国四千年の歴史の中では極めて新しい街である。
 都市化が進んだのはアヘン戦争後の19世紀中期からであり、イギリス・フランス等

           UP

の租界が形成され、その後日本に占領されるなどの歴史を経て、中国の改革開放政策によって、恐ろしく高度成長を続けているのである。

 上海市の人口は戸籍上は約1千4百万人であるが、実際は2千万人近い人が住んでいるらしい。
2千万人と言えば、何とオーストラリアの人口と同じである。
 どうでもいいが計算すると一人平均60kgで、120万トンにもなる。本当にどうでもいいが。

 よって上海の中心部の人口密度は5万人/平方キロmを超える世界屈指の超過密都市となっている。
 つまり分かりやすく計算すると中心部での1人あたりの地面は6坪(12畳)となるが、道路などの公共利用やオフィス・商店などもあるので、実際は半分以下となり、平屋を建てると玄関と便所でおしまいになる。
 そこで、30階〜40階の高層マンションが竹の子ように4千棟超も林立しており、高層ビル数は東京などは足元にも及ばず、ニューヨークを抜いて世界一である。

 それにしても、周りにいくらでも土地があるのに、何故にして上に伸ばすのかを聞いてくるのを忘れてしまったのが残念である。
 強引に積み上げる建築屋が多いのか、上海人は高い所が好きなのか、はたまた人口密度世界一のギネス記録更新を目指しているのか、私にはいまだ謎である。

 上海ビル郡
 余りのビルの多さで地盤沈下が進んでいる。

 そんな事で、上海に歴史深い中国の街並が広がっていると思って行かれると大きな間違いに気づく事になる。なにしろチベットや内モンゴルの秘境から上海・香港まで全て中国なのである。
 良くも悪くも何でもありの中国である。

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 さて、2日目の朝を迎えた。
実質、中2日間の観光であるが、観光初日であるこの日に備えて事前に日本語ガイド付きのワゴンチャーターを日本から予約を入れておいた。

 朝、ホテルに来たガイドさんは昨晩の江さんである。
 運転手とガイドの江さんの2人が付いて、好きな所に連れていってもらってワゴン車で8時間1万7千円である。1人6千円でお釣がくる訳だから日本から比べると格安である。
しかしながら後から考えると、4万円程度が標準的な月給の上海であるから、決して安くないのかもしれない。
 ちなみにタクシーの初乗りは約160円であり、300円もあれば結構な所まで行けるし、地下鉄も試しに1区間乗ったが、48円であるから、やっぱり1万7千円は安くはないのかもしれない。
 と今頃分析してもしょうがないが。

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宿泊したホテルから比較的に近くのガイドブックにも載る古い中国の面影が残る下町にまずは行ってみた。

下町らしい食品店が並ぶが、江さん曰くには、絶対食べてはいけないそうである。
 とにかく何が使われているか分からない。焼き芋が売られていたが、「これはサッカリン漬けです」と江さん。
 サッカリンは発ガン性物質で、中国でも禁止されているがお構いなしだそうだ。
 きれいな生姜は硫黄で着色しているなどなど、健康を考えると真っ当な店で買わないといけないそうである。

 ナンのようなパンの焼き立てが売っていて、まことに美味しそうだったが、その話を聞いて買うのをやめてしまった。
 しかしながら私の日々少なからず嗜むアルコールや不規則な生活を考えれば、今さらパンの一つや二つを、どうのこうのと言える程のものでもないのである。
 人間の命根性は、実に自分に都合良く現われるものなのである。

 ナン
    一体、材料は”ナン”なんでしょう?
 
 野菜売場
  2千万人の胃袋を満たすのも大変である

     路地裏風景
      下町情緒たっぷりの路地裏

このような下町も、上海の急速な発展と共に、大規模な再開発計画でビル街に変貌していくに違いない。
 初めて来た上海で、いつしか再訪した時に、こんな路地裏風景が無くなっていると思うと、随分と寂しいとも感じないでもない。
 しかし、それとて通りすがりの観光客の勝手な所懐であり、当の住人達は早く高層アパートに住みたいと思っているかもしれないのだ。

 さてその後、上海と言えば最大の観光スポットである外灘(ワイタン)に向かう。
        (次回に続く)



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