ほぼ月刊と言いながら、1月までは月2回のペースで進んでいたこのコラム。 ついに2月は本当の月刊になってしまいました。そのうち「ほぼ季刊」になるのでは?とご心配の方もいらっしゃるかもしれませんが、何しろ2月は28日しか無いのでありまして、ご勘弁を・・・(誰も心配も期待もしていない?)
とある食品会社の商品開発部企画課、トオルは入社14年目の独身36歳。バブルの真っ最中に入社。何しろ当時は入社案内が山のように届いた今では夢のような就職環境であった。その頃の入社組の一人である。
そのせいか、いまだバブリーな癖が抜けず、ブランドものは大好きだし、こじゃれたマンションを借りていたりして、貯金はゼロで毎月クレジット支払いに追われているのが現状である。
その上、仕事も今イチぱっとせず、上司に喝を入れられることもしばしば。今年から導入される完全能力給制度への移行と共に減給になる最有力候補者である。
それに対して、同課のナナエは入社9年目の31歳独身。テキパキと仕事をこなし、最近では多くの企画で手腕を発揮しており、尚且つ美人系である。
最近では関連業界からも注目されている。
誰から見ても、この会社にとってはますます貴重な人材になる事に疑う余地はない。
もし、どこかの会社に引き抜かれでもしたら、この会社にとっては大損失である。そこで担当上司の宮坂部長は考えた。
トオルを呼び出した宮坂部長は、彼にこう言った。
「君、ナナエ君と結婚したまえ。結婚したら10年間は今の所得を保証しよう。しなかったら大幅減給だ。期限は平成17年3月までだ!」
この話、どこかで似たような話を聞いた事があるとお気づきの方も少なくないはず。
そう、現在日本中で大騒ぎしているに市町村合併が正にこれである。
市町村合併特例法は、平成7年に大幅改正のもと10年間の期限で延期されている。
つまり、このままだと平成17年の3月で終わる法律である。
その主旨は、国は「地方分権の成果を生かす・市町村の行政サービスを維持・向上させる」というもので、合併した市町村は合併前の普通交付税を 10年間保障!更に、合併した市町村が合併特例債という借金をして行う公共事業などには10年間にわたりその借金の70%を普通交付税で国が手当てしてくれるなど、あま〜いアメがいっぱい。
尚、合併をしないと400兆円を超える国債残高を抱えるこの国はどんどん交付税を減額してくるのは明らか。(もう既にどんどん減らしてきている)
私は合併反対論者ではないが、これでは選択肢と言うより、多くの自治体がこの半強制結婚を選ぶしかないのである。
私たちがあらゆる形で収めた税金の約3分の2が国へ、でも使われる約3分の2が地方だから、大半の市町村は一度国に入った税金を交付税などの形で戻してもらっている。
国は肝心の財源を地方に移す事無く、しっかり霞ヶ関の中央官庁に握らせている。これでは合併特例法の主旨で「地方分権の成果を生かす」と言うのもどこかおかしい。
財布をしっかり握っている旧家の姑に、「これからはあなた方の時代。頑張りなさい!」と言われている可哀想な嫁を思い出す。
(昔はこんなドラマがよくあったよなぁ〜)
そこで、良くも悪くも日本中で合併に向けた協議会が喧々諤々と行われている。
そもそも堅実でしっかりとしたナナエちゃんタイプの自治体はあわてて合併する必要は無い。
もめるのは借金だらけのトオル君タイプとナナエちゃんタイプの市町村合併である。
おネエチャンにとって、遊ぶ時はトオル君タイプは何とも重宝だが、いざ結婚となると、年収や将来性など急に現実的視点になり、トオル君などは相手にしないのと同じである。
さて、わが士別市は面積約600kuで東京都23区とほぼ同じ面積に2万3千人が住んでいる。
片や23区は800万人を越える人口である。
山手線を我が街に作ると、28駅に停車した10両連結の列車に1両80人ずつ乗せると街から人がいなくなってしまう。
この士別市も近隣の朝日町・剣淵町・和寒町との1市3町の合併話が取り沙汰されている。
もし、合併すると総面積は約1500kuで大阪府の約80%の面積となるが、人口はたったの3万3千人程である。(それにしても、何でこんなに人がいないんだ!)
ちなみに一人あたりの面積は1万3千5百坪という事になる。実感が湧きませんが良く言う東京ドームで言うと住民一人あたり約1個分の面積です。
つまり1市3町が合併すると東京ドームを一人1個ずつ建てれる面積がある事となります。
でも、この表現も結局の所さっぱり実感が湧きませんが・・・
で、何を言いたかったんだっけ?
そうそう、こんな広さに合併して、合併特例法で言う行政サービスの向上が本当に出来るんだろうか? 確かに益々複雑になる国主導の行政サービスの地方への押し付けは、小さな市町村ほど行政担当者の育成にも覚束ず負担は増える一方だ。・・・だから合併しろというのも何とも創造力が乏しい。
さらに合併の推進により悲しいのが由緒ある市町村名が無くなる事である。
日本には長い歴史の中で付いたまちの名前が殆どである。また北海道では、その多くが先住のアイヌの地名を見事に漢字に当てはめたものである。
合併するとその多くがまちの名前から消えていくかもしれない。
何しろ今の日本人は、カタカナ語の氾濫に見られるように、造語能力が著しく低下しているため、似たような市町村名が乱立するかもしれない。
たとえば、浦和・大宮・与野3市が合併した「さいたま市」など、あまりにもヒネリも深みも無い。
いっその事、浦和大宮与野市の方が良かったかも。(太陽神戸三井銀行みたいでしょう。あれ?今なに銀行だったけ?)
それに比べ明治時代、文化・自由・権利・義務などなど、いとも簡単に外来語を漢字にしてしまった先人達の素晴らしさを思う今日この頃である。
そこで、もし私の地域の1市3町が合併するとしたら、いったいどんな名前にするのだろう?
もうこうなったらインパクトのあるものに是非ともしていただきたい。
私も少しだけ考えてみた。
たとえば「市山市」なんてどうだろう。上から読んでも下から読んでも「いちやまし」、何の意味も無いが覚えやすい。でもこれには先輩として千葉の市原市や市川市があるので2番煎じだ。(市原や市川の人はそんな事考えていないかぁ?)
「さいたま」がひらがなならカタカナという手もある。
「パリ市」とか「ロンドン市」とかどうだろう。あくまでも Paris ではなく パリ
なので本家もケチのつけようが無い。(既にメガネ屋さんだってある)
ふるさと創生基金の1億円で日本一の自由の女神像を造った青森県の百石町などはニューヨーク町に改名するほうが分かりやすいかも。
(それより、自由の女神像でなぜ日本一を誇るのか意味が分からないが・・・)
思い切ってアルファベットを使うなら A市なんてどうだろう。あらゆる資料・文献に匿名で書かれたA市は我がまちの事になる。
E市なんていうのもある。
「あなたどこのまちの出身?」 「E市ですよ」 「そんなにいいまちなの〜」 と会話も弾む。
結局の所、この私も造語能力が低下というより欠落しているらしい。
何しろ、この冬二度目のカゼにかかり昨日は久しぶりに1日寝込んでいましたので、思考能力なんてどっかに吹っ飛んでしまいました。
(もともとふっ飛ぶ程無い?)