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2010/05/09
悲観論・楽観論@
 久々の更新である。
4月4日告示、11日投票日の士別市議会選挙へ、2期目の挑戦をしていたのでコラムどころではなかったのである。
(小まめにツイッターを更新しているこの国の総理や国務大臣などに言わせたとしたら、何たる怠慢!とお叱りを受けるに違いない)

 結果からいうと、当選させて頂いた。
この場をお借りして感謝とお礼を申し上げる次第である。

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 日本人は総じて悲観論者が多い。
そもそも政府をあまり信用していないのか、せっせと貯金などで蓄える。
 現在日本人の個人金融資産は総額約1,400兆円と言われ、年代が高くなるほど金融資産が圧倒的に高くなる。
 つまりお年寄りほど預貯金が多いという結果となっている。
 しかも何と、60歳以上が個人金融資産総額の約6割を保有している。
(一体、いつまで「老後のために・・・」とお考えなのであろうか?)

 政府はこの1,400兆円の個人金融資産を、膨れ上がる国債発行の受け入れ先として、その殆どを依存している。
 国債を買ったつもりの無い人でも、銀行やゆうちょに預金したり、保険会社に保険料を払うことなどにより、間接的に国債購入を支えている。
 民間への融資などによる運用能力の無いゆうちょやかんぽは、せっせと国債を買い支えている。
 日本の国債の95%を国内で消化できる巧妙なシステムとも言える。
(怪しい投資会社が、「絶対に儲かる!」と資金を集めるが、運用の実態が殆ど無く、新規の投資が増えている間は、配当を出しているが、限界点に来た時に一気に破綻する。
・・・そんな話は良くあるが、何となく似ていないだろうか?)
 
 つまり将来のためにせっせと貯金した事が、結果的に政府が依存する借金の原資となり、次世代へ負担を後回しにしているのが実態である。
 高齢者の預貯金からの国の借金を、今後若者が返済するために増税になると言ったほうが分かりやすい。
(正に、世代間の格差と言えるのだ。「大変申し訳ない。若い人はメチャクチャ働いて、いっぱい納税して下さい!」と政府も陳謝するべきである)

 例えば、かわいい自分の子どもの将来の教育費のためにと、あなたが切り詰めて毎月積み立てる学資保険の保険料は、かんぽを通じて、子ども手当てなどの財源不足を補うための政府の赤字国債の購入に充てられるのである。
(子ども手当てが支給されると、ありがたいのは事実だろうが、その膨大な国債残高を将来背負わされるのは、他ならぬ子ども達なのである。)

 今後政府は、ゆうちょ銀行の預入れ限度額を1千万円から2千万円へ引き上げ、全国に広がるユニバーサルサビース網を駆使して、お年寄りから札束を掻き集め、資金運用力の無いゆうちょ銀行に国債を買わせる計画である。
 ペイオフ(預金保護)で保障されるのは1千万円と決まっているが、親会社の株の2分の1以上を政府が保有しながら、事実上の政府系金融機関となるゆうちょ銀行の預入れ限度額を2千万円にする事は、ゆうちょだけのペイオフ限度額の実質2倍の引き上げとも取れるのである。
 こうして、他国に類を見ない巨艦国営金融機関の民営化の流れは、大きく後退して行くのである。
(わずか数年前、郵政民営化で大勝利を与え、「純ちゃ〜ん!」と狂喜にも近いフィーバーをした”小泉改革”への妄信的日本人は、一体どこへ行ってしまったのだろうか。
 郵政民営化とは異なり、「自民党をぶっ壊す!」は公約どおり着実に進んでいるのは誰もが否めない事実ではあるが・・・)

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 さて財務省によると、国・地方の長期債務残高は、平成21年度末で約816兆円程度と発表されている。
 ここ3年で、55兆円増えている。
先行して支出削減と財政健全化を進めている地方の長期債務はここ4〜5年はほぼ200兆円で推移しているので、この増額の全ては、国の借金が増えた要因である。
 09年度の国の税収が37兆円とも言われている中、その1.5倍の借金がわずか3年で増えた計算となる。
 下記に経済ジャーナリスト財部誠一氏のサイトに日本の借金時計があるので覗いて頂きたい。

http://www.takarabe-hrj.co.jp/clockabout.html

 この時計を見ていると、1秒で117万円債務が増えて行く。事業仕分けで、500万円の事業費を削減するための論議を10分している間に、7億円の債務が増えている計算である。



           UP

 事業仕分けは否定はしないが、日本の財政の抜本的改革を後回しにしていては焼け石に水であり、パフォーマンスと言われても致し方ないのである。
(50万、100万円の費用効果も事業仕分けで論じられていたが、そんな細かなチェックは第3者委員会にでも任せて、国会議員はもっと大局を論ずるべきである・・・
田舎の市議には言われたくない?)

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 ギリシャ経済が破綻しそうで大問題となっている。
必ず「日本は大丈夫か?」と比較されるが、70%を海外の投資家が所有するギリシャとは根本的に異なり、日本の国債は殆どが自国通貨での借金なので破綻はありえないという楽観論もある。
 これで一部悲観論者も安心する人もいるだろうが、借金には違いなく、借金は当たり前ながら金利を付けて返すものなのであり、どこかに限界点はあるのではないだろうか。
(”限界に挑戦する”という言葉は、しばしば良い事へのチャレンジに使われるが、国債発行の”限界への挑戦”は頂けないのである)

 そもそも税金が高くても、社会保障制度がしっかりとしていれば、個々が多くの預貯金をする事が不要になるのである。預貯金に回る何割かが税金として政府に直接入れば国債を通さないので、金利も不要となり、利払い費分も国民に還元できる事となるのだが、そんな単純なにはならないのが世の常である。
(何と国債の利払いだけで年間約10兆円が消えて行く・・・
視点を変えれば、この10兆円は国民に払われているのである。
 政府は大貧乏だが、国民は豊かとも言えるのだが、その実感の無い人が殆どだから話はややこしい・・・)

 そこでであるが、最近マスコミを賑わすのが、「日本破綻論」である。
 その論調の骨子は以下のようなものである。

 @日本の国債の殆どは、日本人が買い支えているが、何処かで国債の国内消化が限界点を向かえ、買い手が付かなくなる。そうなると国債が暴落し、金利が急上昇し、円も暴落する。
 株価も暴落、物価は高騰しハイパーインフレとなる。
 A仮に金利が1%上がるだけで、国と地方で、10兆円近い支出増となる。
 B国の税収の20倍を超える債務がある国が破綻しない理由はない。
 C新政権になり、財源無きバラまき政策を進める中、4年間消費税を上げないなど、歳入対策がまるで無い。
 D先進国の債務残高は、主要各国が、対GDP比50〜80%である中、180%台の日本の数字は、もはや返済不能の領域に入った。
 
 このような論調を見聞きすると、特別な悲観論者でなくとも、日本破綻論が、にわかに現実味を帯びて感じるに違いない。

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 それに対して、日本で一番の楽観論者と思われるのは、他ならぬ鳩山総理大臣かもしれない。

 政府・民主党は、7月の参議院選には、23年度からの子ども手当ての月額2万6千円の満額支給もいまだに検討しているらしい。(何と5.5兆円の財源が必要である)

 今年度は公約違反の地方負担を強いる児童手当の上乗せ支給による1万3千円の半額実施をするのが精いっぱいだった。
 それでも結果的に、史上空前の44兆円の国債発行となる。(ちなみに税収は37兆円である)
 社会保障費の自然増分だけでも、毎年約1兆円ある上、財務省では23年度の国の税収も38兆円程の予測の中でである。

 そもそも月額2万6千円の算定根拠が乏しい。
 食費・被服費・学費などの費用がその程度という調査結果だと言う。
 テレビで評論家の三宅久之氏が「子どもは親が育てるもの」と言っていたが、基本的には全くその通りである。
(いったい誰が、国の配給で育てたいと言ったのであろう)

 算定根拠のもう一つが、ドイツやフランスなどの国の同様の手当てが平均2万円程だからという話らしい。
 しかし、それらの国の付加価値税(消費税)は20%程である。
 4分の1の税率5%の日本が、それを超える支給を目指す事がいかに馬鹿げた事か、与党議員は誰一人思わないのであろうか?

 与党議員は全てが、「何とかなる!」と楽観主義者の集まりなのかもしれない。
 そうだとすれば、ただただ不幸なのは我々国民である。



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