エコロジーふとん専門ネットショップ グッスリー
2007/12/30
地球に優しいバイオ燃料
 気がつくと2007年が終わろうとしている。
今年最後のコラムであるから、精一杯素直に書く事とする。

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例えば、トウモロコシを植える。トウモロコシは太陽エネルギーによる光合成で、空気中の二酸化炭素を吸収してデンプン質たっぷりの実をつける。
 その実を発酵させて出来たアルコールがバイオ燃料の一つであるバイオエタノールである。ガソリンと混ぜたりそれ単体で車の燃料として利用するのである。

 基本的には酒である。呑まないで燃料にするのであるから、私に言わせれば地球環境どうのこうのと言う前に、随分と勿体無いと思うのである。
(トウモロコシが原料であれば、樽詰して寝かせれば、立派なバーボン・ウィスキーになるに違いないのである)

 このバイオエタノールで車のエンジンを動かすと、空気中に二酸化炭素が放出されるが、それはトウモロコシが育つ時に吸収したものであるから、地球上ではプラス・、マイナスゼロとなり、地球温暖化ガスの主因である二酸化炭素は増えないという分かりやすい理由から、各国が競って増産を始めている。

 実際には、そのバイオエタノール工場で使われるエネルギーや、トウモロコシ栽培に使われる農機具や搬送のエネルギーなどの大半は、地球温暖化ガス発生の元凶である石油エネルギーであるが、そんな計算はこの際ややこしいので含めないというのであるから、算数が苦手な方にも至極優しい政策なのである。

 その先進国であるブラジルでは、サトウキビからバイオエタノールを生産する世界最大の国である。
 その輸出国としての地位確立のためにもブラジルではサトウキビの大増産が行われており、どんどんとその耕作面積が広がっている。
 世界最大の二酸化炭素吸収地帯であるアマゾンの大密林を焼いて、サトウキビ畑が広がっていく。
 とにかくバイオエタノールは地球に優しいのであるから、アマゾンの密林の減少などの問題くらいは眼をつぶらなければならないである。

 ディーゼルエンジンで使えるバイオ燃料をバイオディーゼルという。
 主に菜種・大豆・ひまわり・パームやしなどが原料となる油であり、ヨーロッパなどで需要が急増してきている。
 これらは早い話は食用油とも言える。
てんぷら油で車を走らせると考えるとほぼ間違いない。
 少しゴマ油でも混ぜていただければ、排ガスの香りは、正に天ぷら屋の香りになるに違いない。
 すきっ腹に往来を歩くと、排ガスの香りで腹がグーグー言う事になるのである。

 現在、インドネシアやマレーシアの熱帯雨林がどんどんと開かれ、バイオエタノールの原料となるパームやし畑に変わっている。
 一千万年前位には兄弟だったかもしれないオランウータンなどの密林も次々と姿を消し、希少動植物の絶滅の危機が加速している。
 これも地球に優しいバイオ燃料のためだから致しかたないのである。

 アメリカでは、国家戦略で主にトウモロコシから作られるバイオエタノールの増産の優遇措置を続けている。
 遺伝子組み換え技術で、連作障害が無くデンプン質の多い品種が作られたため、日本向けの大豆や小麦などの作付けは減る一方である。
 トウモロコシ自体の価格急騰はもとより、大豆などの穀物相場は急上昇をした。
 おかげでアメリカなどの農家は大幅増収となり、ファンドを通してバイオエタノール関連に投資した人々も潤い、素晴らしい好循環が一部でおきている。
 今や穀物相場は実態経済からかけ離れて、ファンドマネーが相場を先導しているのである。


           UP

 石油メジャーの多大なるご支援を頂いている、テキサスオヤジ いやブッシュ大統領にしてみれば、末端のスタンド施設までの石油メジャーの既存施設をほぼそのまま活用でき、環境対策を全くやる気が無い国と国際的に烙印を押されているアメリカにとってもアピールできる都合の良い政策である。
 しかも穀物相場は高騰し、正に一石三鳥とはこの事である。

 そのあおりで、自給率40%を切った日本では、わが国の穀物倉庫的である存在のアメリカがそんな状況のため、軒並み輸入価格は高騰し、年明けからあらゆる食品が更に値上がりをする。
 それに合わせて個人所得が伸びないのが、残念ながら苦しい所であるが、これも地球に優しいバイオ燃料のためだから致しかたないのである。

 日本でもバイオ燃料の開発が進められてきている。
耕地面積が狭く生産効率が低い上、高い人件費の日本では、穀物類の生産コストは海外の5〜6倍になっている。
 仮にこの日本の穀物類などでバイオ燃料を作れば、とんでもなく高い燃料になるに違いない。
 原油高騰で150円/Lを超えたガソリン価格に苦しめられている現在であるが、純国産バイオ燃料を1000円/L位で売り出せば、ガソリンが物凄く安く感じられる効果も十分に期待できるのである。

 ただし、異常に低いわが国の自給率が更に下がる可能性もある。それでも地球に優しいバイオ燃料のためだから致しかたないのである。

 先進国が、地球に優しいバイオ燃料と高騰する食糧の奪い合いを始めると、残念ながら発展途上国の食糧が圧倒的に不足する事となり、飢えと貧困が更に広がるであろうし、世界中の熱帯雨林も消滅するかもしれない。
 少子化・超高齢化社会の進む日本は、中国やインドなどの新興国との経済戦争から脱落して、思ったように食糧を海外から調達出来なくなる可能性もある。

 戦中や終戦直後のように、道端にイモでも植える暮らしに戻るかもしれない。
 雑草だらけの道端や空地が畑になり、結果的に自給率は飛躍的に上昇するかもしれない。
    ブラボー! バイオ燃料

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 万能細胞の研究が進んでいる。
その一つがES細胞と言われ、治療する本人の遺伝子をもった未分化の状態の細胞であり、あらゆる細胞に変化できるものの事である。
 つまり技術が今後進むと、本人のあらゆる臓器や組織を作り出せる可能性を秘めており、拒絶反応もない夢の医療技術だ。

 ただ、ES細胞はヒトの卵子を利用するために、倫理的な問題があった。

 そこで、京都大学の研究グループが、万能細胞のひとつであるiPS細胞の研究を進めており、画期的な成果を挙げつつある。
 これは本人の皮膚細胞から作られるのでES細胞のように社会的に受け入れづらいという問題は少ない。

 こういった研究が進むと、近未来には全ての臓器や組織の複製と交換が可能となり、人は死なない時代がやってくるかもしれない。

 そうなると少子化・高齢化などの問題は一気に解決し、病気やケガは何も怖いものではなくなる。
 みんな永遠に働きざかりのため、年金など崩壊してしまっても何の問題も無く、夢のような世界となるのである。

 ただ一つの難点といえば、脳を取り替えたら、自分ではなくなる事くらいである。

 私が死ぬまでに、この技術が完成しない事を祈らずにはいられない。



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