エコロジーふとん専門ネットショップ グッスリー
2005/08/07
ジンギスカンブームを思う。(前)
 最近、羊肉がブームである。
羊肉に含まれるアミノ酸の一種、L−カルニチンが脂肪を燃焼させダイエット効果が高いと報道されてから、一気にブームとなった。
 ちなみにその含有量は牛の3倍、豚の9倍と言われている。
また、脂肪の融解温度が高いので吸収率が低いのも見逃せないポイントらしい。
 しかし、勘違いしている人がいるかもしれないので敢えて言うが、羊肉をいっぱい食べれば食べる程、どんどん痩せるという事ではない.。
摂取カロリーが多くなれば、当たり前だがデブに拍車を掛けるだけである。

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日本人は、羊肉=ジンギスカン というイメージしか浮かばないらしい。
この波に乗り遅れまいと、ブームが去ったもつ鍋屋や、牛肉のBSE問題で経営が悪化した焼肉店からの転向組も加わり、今や首都圏でもジンギスカン店の開店ラッシュらしい。
 と言っても、日本人の性格からすると、このジンギスカンブームが去るのも時間の問題なのは容易に想像がつき、”次は何を売ろう?”と頭を悩ますに違いない。
(南は九州のもつ鍋ブームから、北のジンギスカン鍋へと日本列島を一気に縦断したから、今度は一つ戻って東北のしょっつる鍋あたりになるかもしれない。    ・・・スゴロクでは無い?)

日本人は食肉といえば、牛肉・豚肉・鶏肉が基本であるが、欧州とりわけフランスなどでは、最高級の食肉といえば羊肉である。
当然、最高級のフレンチのメインも羊肉である。
 何しろ日本の場合、北海道を除くと、羊肉を置いてすらいない肉屋が非常に多い。
世界的にはとてもポピュラーな羊肉を、これだけグルメな日本人が殆ど忘れていた訳である。
(羊肉に目覚めたきっかけが、ダイエット効果というのも何ともさみしい限りであるが・・・)

 話は脱線するが、2、3年前、ダイエット効果を謳ったふとん用生地が発売された。
この生地で布団を作ると、寝返りを打つたびに繊維に付着させたマイクロカプセルから放出される柑橘系の香り成分により、ダイエット効果が期待できるという画期的?代物だった。
 が、売れたという話はついぞ聞かなかった。
やっぱり食べれる物には敵わなかったのか?
(っていうより、冷静に考えれば、そんなに効果があるのなら、布団をわざわざ買い換えるより柑橘系の芳香剤を枕元に置けば事足りるのである)

 さて、なぜ日本の羊肉の浸透にこんなに時間がかかっているのであろうか?
江戸時代まで動物性たんぱく質の摂取といえば魚介類がメインだった日本人は、明治維新以降本格的に導入された牛・豚は、すき焼き・ステーキ・トンカツ・・・と日本人の味覚に十分すぎる衝撃を与えてしまったのかもしれない。
 それから1世紀を経ても、日本人は牛肉が最高と思っている人が多い。
(牛丼の吉野家は、BSE問題で輸入が止まっている米国牛に頑なにこだわり、牛丼の販売再開に全くめどすら立っていない。
 でも吉野家ってある面凄いと思う。
ドーナッツを売らないミスタードーナッツ、ハンバーグを売らないマクドナルド、フライド・チキンを売らないケンタッキーを想像していただきたい)

 日本での、本格的な羊の導入の試みは明治時代からであるが、定着したのは昭和に入ってからである。
特に戦後の羊毛需要と政府の推奨政策により、昭和32年にほぼ100万頭飼育されたのがピークであった。
(実は毛織物の研究にと、江戸中期にあの平賀源内が日本で始めて本格的に羊を飼育している。
日本のダヴィンチと言われる源内、ご存知のエレキテルや土用の鰻の発案など数々の功績が知られているが、羊の飼育は案外知られておりません)

 終戦後、北海道などでは、どこの農家でも自家用の手紡ぎ毛糸を作るために、毛肉兼用種のコリデールという種類の羊を2、3頭は飼育していたものである。

       コリデール種羊
           コリデール種
        (日本人が羊の姿を思い浮かべる時、
      そのイメージにぴったりの羊じゃないですか?)





           UP

 現在、食用に流通している羊肉は、生後1年以下のいわゆるラム肉が主であるが、当時の羊と言えば、何しろ羊毛がメインだったため、10年以上も飼育した後の羊(廃羊)を食肉としたものだった。 併せて格安の動物タンパク源として、ニュージーランドやオーストラリアなどの廃羊肉なども輸入されており、羊肉=臭い・硬い・まずいの三拍子で、日本の羊肉のイメージは惨憺たるものから始まってしまったのである。
 これが、牛・豚に遅れること約1世紀、羊肉に目覚める?のに時間が掛かってしまった主因と考えられる。
 参考に、日本では生後1年を超える羊肉をマトンと言うが、もう少し細かく分類すると1年から2年はホゲット、2年以上をマトンと言うのである。
     (ほげっと勉強になったぁ?)

強い臭みがあり、硬く、油のきついそんな肉でも、まだまだ豊かとは言えなかった当時、それでも何とか食べようと試行錯誤して作られたのが、いわゆる”ジンギスカン料理”の原点である。
 ニンニク・野菜・リンゴなどをたっぷり入れたタレに漬け込んで肉の臭みを消す、味つきジンギスカンで、今で言う滝川方式という調理方である。
 ちなみに現在のジンギスカンは主にラム肉で、当時の肉とは比べ物にならない程上質になっているため、肉をそのまま焼肉して、タレで食べるいわゆる札幌方式が多くなり、こちらもジンギスカン料理と言われている。
 (でも、これって何の工夫も無いんだから、ジンギスカン店というより、ラム肉専門の焼肉屋でいいと思うのだが・・・)

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さて、わが街”士別市”は”サフォーク”という種類の羊を街の顔にしようと、かれこれ4半世紀”サフォーク運動”というまちづくりをしている。
 ちなみに観光牧場もあります・・・
    http://www.shibetsu.ne.jp/hituji/index.html 

顔・足が黒いこのサフォーク種の羊は、上質な肉用種として有名なのである。
 サフォーク羊を農家や牧場で飼育していただき、肉や羊毛製品を地場産品として売る一次的な事だけではなく、何をやっても何を売っても、”サフォーク・ランド・士別”という羊のまちとしてのブランドに育てようという運動である。
サフォークラーメンやサフォーク煎餅だってある。
        (かなりの力技だ!)
 http://www6.ocn.ne.jp/~shibetsu/tokusan/tokusan.html

       サフォーク種羊
           サフォーク種
         皇室用御領牧場でも飼育されている。

このまちづくり運動の中核を担い、飽きもせずに実に23年もやっている市民団体が”士別サフォーク研究会”である。
 いささか恥ずかしいが、何を隠そうこの私が昨年から11代目(たぶん?)の会長をやっている。
(だらだらと羊のウンチクを書いてしまったのも、そのせいである)

で、まだまだこの話は終わりそうにないので、後編に続きます・・・

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先月、夏休み直前の地元中学校の1年生の総合的学習の時間に”サフォーク・ランド・士別”の話をして欲しいと先生に急遽頼まれ、講師をするハメになってしまった。

3クラス、90数名の一年生の前での50分間授業であった。
10分でネタ切れしたらどうしよう?という心配も何処へやら、ぶっつけのわりには、何とかなるものである。
(まぁ、ダラダラしたこのコラム調でやる訳だから、聞かされる生徒もたまったものでは無い?)

何事も”つかみ”が肝心と、ちょっとしたジョークから始めた。  が、全くの無反応。
     (いきない滑ってどうする!)

 「今日は外から講師を向かえるので、しっかりと静かに聞きなさい!」と先に先生からガッツリ言われていたのだろう。
僅か4ヶ月前までは小学生だった聞き分けの良い中学1年生は、真剣に聞くあまりジョークに反応する余裕が無かったに違いない。

    (やっぱ、ジョークが寒すぎただけ?)


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